老舗企業

経営

日本の企業数は約420万社あります。

では、その中で「老舗企業」は何社くらいあるでしょうか?
老舗企業の定義は、創業100年を超える企業です。

正解は約3.3万社(2017年)、個人事業を入れると10万者にもなると言われています。
また、世界中の老舗企業の80%以上が日本に集中していると言われています。日本は圧倒的な老舗大国なのです。
またこの数は毎年1000社程度増加しており、今後も増加する見込みです。
考えてみれば、トヨタ自動車もソニーも本田技研もまだ老舗企業ではありません。
ちなみに一番古い企業は578年創業の金剛組。時代区分でいうと飛鳥時代というから驚きです。

ではなぜ老舗企業が日本に多いのでしょうか?
100年以上も企業を存続させるためには、時代のニーズに合ったビジネスを提供し続けていることが絶対に必要になります。
口で言うのは簡単ですが、今から100年前というと大正時代です。首相は原敬。そんな時代です。
そこから日本に起きたことを想像してみて下さい。
関東大震災・昭和恐慌・第二次世界大戦・終戦後の動乱
オイルショック・円高不況・バブル崩壊・阪神淡路大震災
リーマンショック・東日本大震災・・・・
挙げただけでもこれだけビジネスにネガティブな影響を及ぼす出来事が起きています。他にも様々な出来事が起きています。
老舗企業はこれらの出来事を全て乗り越えている訳です。
まさに驚異的です。

この間に社会も経済も大きく変化しました。
もちろん消費者のニーズも多大なる変化をしています。
大正時代に成功したビジネスモデルは、現代では通用しないでしょう。
その時代に合ったビジネスモデルに合わせつつ、老舗企業は進化し続けていったということになります。


また、創業100年の企業をイメージしてください。
現経営者は何代目でしょうか?
家族経営で親から子に引き継がれた場合でも、3代では厳しそうですね。5代目・6代目あたりじゃないでしょうか。
では、5代続いたとして、その5名の経営者は全員優秀だったと思いますか?
初代は優秀だった可能性が高いと思いますが、そのレベル感で5代連続、優秀な経営者が続くものでしょうか?
中には微妙な人が混じっている確率はかなり高いのではないでしょうか。
徳川将軍家だって15代の中に微妙な人が混じってますよね。

さて、老舗企業はかなり劇的な100年を生き抜いてきた企業です。
でも、優秀な経営者がずっと舵取りをしてきたわけではない、という仮説も成り立ちます。
経営者がイマイチなのに、様々な出来事を乗り越えることができる能力。
これこそが老舗企業が持ち合わせている能力でしょう。

そしてその正体が何かというと、「現場力」に行き着きます。
消去法的に考えると、それしか考えられないのです。
つまり、リーダーがダメでも現場で何とかしてしまう能力、これがある企業は長く存続できるのではないかと考えます。

そしてこれは老舗企業に限った話ではなく、日本の会社全体に言えることだと思います。
優れたリーダーの急進的なイノベーションではなく、現場中心の緩やかなイノベーション。
例えるなら、大きな船がゆっくりと舵をきって方向を変えるように、動いていく。気が付いたら時代にキャッチアップしている。
老舗企業の存在を研究すると、日本的経営の要諦はここにあるのではないかと感じます。

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