デフレーションの続きです。
デフレーションとは物価が下がることであり、逆に通貨の価値が上がることを説明しました。
消費者の観点のみで考えると、デフレーションは決して悪いことではないように見えます。
しかし、デフレーション下では不況になる傾向があるというのが、経済学の常識になっています。
なぜ、そうなるのでしょうか?
家を購入するというシチュエーションを考えて見ましょう。
もし、5年後に家の価格が50%低くなると分かっていたら、あなたは今すぐ家を買うでしょうか?
ほとんどの人が「じゃあ、もう少し待つか」と考えるはずです。
家を売る場合も一緒です。5年後に家の価格が50%安くなると分かっていたら、早く売ってしまいたいと売主は思うでしょうが、買い手が付きません。
つまり、デフレの環境下では、家を買うことにも売ることにも、消極的になってしまういうことになります。
では、もし5年後に家の価格が50%高くなることがわかっていたら、どうでしょうか?
3000万円の家が4500万円になってしまう。だったら早い内に買っておこう、もし払えなくなったとしても、値上がりがほぼ確実なら買い手はいくらでもいるだろうから、大丈夫だろう、と思いませんか?
このようにインフレの環境下では、家の売り買いが活発になることがお分かりかと思います。(バブルの時が最も顕著な例ですね)
経営でも一緒です。
そのまま手持ちの現金を寝かせておいたら、価値が下がると思えば、多少のリスクを覚悟してでも積極的に投資に回すでしょう。
しかし、手持ちの現金の価値が放っておくと増えるのであれば、現金はそのまま持っておいて、リスクのある投資は回避するのが賢明です。
デフレ環境下ではお金やモノの動きが鈍くなります。
だから景気が悪化するのです。
そうなると当然のことながら、給与に影響してきます。
給与が減らされると、余計に消費が押さえられる→売れないのでより物価が下がる→消費はより消極的になる→景気がますます悪くなる→給与を減らす・・・
といった負の循環が起こってくるのです。
バブル崩壊後の日本は、ずっとデフレ基調の経済環境でした。
今、政府や日銀が脱デフレを掲げて経済政策をやっているのは、デフレの悪循環を断ち切り、インフレ基調に転換することで、景気を良くしようとする取り組みなのです。
とは言え、カップラーメンや飲み物など値上げが相次いでいますが、これはいい兆候として捉えるべき話なのです。
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