自動運転

技術

ここ数年の自動運転がスゴい!

近年(特にここ2〜3年)、自動運転の技術が大幅に進歩しています。

一番体感できるのはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)でしょう。

アダプティブが付かないただのクルーズ・コントロールは、かなり以前から実用化されていました。
私の記憶では、バブルの頃に叔父さんの国産高級車についていたのを覚えています。
車を一定の速度で走らせる機能のことを指しますが、100kmで設定すると、アクセルから足を離しても、100kmを維持します。
ただし、この機能はただ同じ速度を維持するだけで、前の車との車間が詰まった場合でもそのまま速度を維持しようしますので、そのままにしていると、前の車に突っ込んでしまいます。
アメリカやヨーロッパのように、空いた高速道路をずっと走り続けるというシチュエーションが多い場所では、有効な機能なのでしょうが、日本のように他の車が視界に入るのが当たり前というシチュエーションでは、あまり役に立ちませんでした。

ところがACCでは、前の車をセンサーやカメラで認識して、一定の車間距離を保つように、スロットルとブレーキを制御します。
100kmで速度を設定したとしても、前の車が80kmなら自動的にブレーキをかけて一定の車間距離を保ちながら走行します。
前の車が加速すれば、それに合わせて加速していきます。

私の感覚では、高速道路であれば90%以上はACC任せでいけてしまうくらい、進化しています。
最近では軽自動車でもACCを搭載している車種が登場しており、近い将来にはほとんどの車がACCを搭載することになるでしょう。

ACCだけでなく、例えばメルセデスベンツは、ウインカーを出すだけで、後方・側面の安全を確認し、自動で車線変更をしてくれる機能を搭載しています。
自動駐車システムも大きく進化しており、日産リーフはかなり高度な自動駐車システムを搭載しています。

自動運転の定義

自動運転の定義は下記のようになっています。(国土交通省の資料より)

レベル0 運転自動化なし ドライバーが全ての運転操作を行う
レベル1 運転支援

システムが前後・左右いずれかの車両制御に係る運転操作の一部を実施

レベル2 部分運転自動化 システムが前後・左右両方の車両制御に係る運転操作の一部を実施
レベル3 条件付き運転自動化

(限定条件下において)システムが全ての運転タスクを実施
システムからの要請に対する応答が必要

レベル4 高度運転自動化 (限定条件下において)システムが全ての運転タスクを実施
システムからの要請等に対する応答が不要
レベル5 完全運転自動化 (いかなる条件でも)システムが全ての運転タスクを実施
システムからの要請等に対する応答が不要

現在は、レベル2の自動運転が主流になっています。
前後・左右、という表現が分かりにくいですが、前後は加速・減速、左右はハンドル操作のことを指しています。
ACCがついていて、車線逸脱防止機能がついていれば、レベル2ということになります。

レベル3になると、基本的にドライバーは何もする必要はありません。
ただ運転席に座っているだけです。
でも、何かあった場合にドライバーが介入しなければならないので、運転席にいる必要はあります。

レベル4以上では、ドライバーという概念はなく、誰かが運転席にいる必要はありません。(そもそも運転席という概念がなくなるかもしれません)

現在はレベル3の車の実用化を各メーカーが競っている段階です。
レベル3に対応するためには、信号・標識・道路状況などを正確にキャッチして判断する必要があります。
そのため、なかなかハードルが高いのですが、アウディA8という車がレベル3を実現した車として市販されています。
ただ、日本では法律上許されない部分があり、日本に輸入される車に関しては、レベル3の機能をオフにしているそうです。

自動運転の課題

自動運転が進展していく上で、技術的な課題はまだまだ山積しています。

以前、日本では道路を高度化することで、道路からの情報を車がキャッチすることで自動運転を実現しようとする動きがありました。
でも、これはコストがかかりすぎること(特に国土面積が広い国)がネックになります。
そこで、今では道路の高度化ではなく、自動車自体の高度化で自動運転を実現しようとしています。

そうなるとセンサーやカメラを駆使することになりますが、単純な話、泥をかぶってしまった場合、センサーやカメラが動作しなくなることも多々あります。
それに、信号を判断する場合、複雑な形状の交差点で正確に判断ができるのか等々、まだまだ課題はあるのです。

でも、技術的な課題以上に問題になるのが、法的な問題です。

自動運転の車が事故を起こした場合、誰の責任になるのか?というのは最たるものです。
一応、レベル3まではドライバーの責任、レベル4以上ではメーカーの責任、という区分けで議論は進んでいるようです。
でも、そんなに単純にはいかないと思います。

一斉に皆がレベル4以上の車に切り替えるならいざしらず、おそらく道路上にはレベル0から様々な車が混在することになるでしょう。
想定不可能な動きをする、歩行者・自転車・バイク等も混在するでしょう。
そんな中で、いついかなる場合でも安全な緊急回避動作をできるのかというと、かなり疑問です。
そして、事故が起きる度に、自動車メーカーが損害賠償責任を負わなければならないとなると、自動車メーカーにとっては背負いきれないリスクになっていく可能性も十分に考えられます。

そうなると「技術的には可能だけど、事実上、完全自動運転車は作れない」ということにもなりかねません。
現時点で解決策は見えていないのですが、どのように法的に整備するのか。
もたもたしていると、技術の進歩のスピードに追い抜かれてしまいそうです。

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