サブスクリプション

経営

ソフトウェアはサブスクリプション方式が主流に

サブスクリプションとは、モノを所有するのではなく、モノの利用権を借りて、利用期間だけその利用料を支払うという仕組みのビジネスモデルを指す言葉です。

ソフトウェアの業界では普及し始めています。
これまではパッケージソフトを購入して、パソコンにインストールして利用する方法が一般的でした。
最初にお金を支払った後は、追加でお金を支払う必要はありません。

サブスクリプション方式で購入した場合は、買うのは利用権です。
毎月いくらかの利用料を支払い、その利用料を払い続ける限り、そのソフトウェアを使い続けることができます。

マイクロソフトのOfficeもOffice365という製品をラインナップしていますが、これは月額料金を支払うタイプのサブスクリプション方式です。
Office365ビジネスでは月額900円で利用できます。(価格は今日時点のもの)
大体、同等のパッケージ製品の実売価格が3.5万円くらいですので、約40ヶ月以下しか利用しないのであればサブスクリプション方式の方が安く、それ以上であればパッケージ製品の実売価格の方が安くなります。

ただ、サブスクリプション方式の場合は、値段以外にもメリットがあります。
Officeはバージョンアップを繰り返しています。
パッケージ製品であれば、買ってから時間が経てば、機能が陳腐化したり、サポートが終了したりして事実上、使えなくなってしまいます。
しかし、サブスクリプション方式で購入したソフトウェアの場合、バージョンに関わらず、利用料を払い続けている限りは最新のソフトが提供され、サポートも継続し続けます。

また、数十万する高額なソフトであると、購入に躊躇することもありますが、サブスクリプションであれば、分割払いのような形になりますので、負担感が少なくなるというものメリットでしょう。

ソフトウェアメーカーにとってもメリットは大きいです。
サポートや機能の陳腐化があるとは言え、古いソフトが使えない訳ではありません。
我慢して古いソフトを使い続けるユーザーも一定数いるでしょう。
Officeもバージョンアップを繰り返す内に、新しいバージョンでもそれほど画期的な機能が追加することはできなくなり、「今のままでいいじゃん」というユーザーが増えていきます。
そうなると、新製品がなかなか売れなくなるという現象が起きます。

サブスクリプション方式であれば、乗り換えしないユーザーというものを考えなくてよくなります。
全てのユーザーが最新のものを使い続け、全てのユーザーから毎月の利用料を徴収することができるようになります。

このようなメリットがあるので、ウィルス対策ソフトやIME(文字変換ソフト)など多くのソフトウェアがサブスクリプション方式に移行しているのです。

サブスクリプション方式で自動車

昨年くらいから、ソフトウェア以外のモノやサービスでサブスクリプション方式のビジネスモデルが急速に出始めています。

昨年11月には、トヨタ自動車が「KINTO」という自動車のサブスクリプションサービスを発表しました。
これは定額の利用料を払い続ければ、トヨタの車に乗ることができるサービスです。
サービスの種類によっても変わりますが、最上級のサービスですと、半年ごとに好きなレクサスブランドの車に乗り換えられるサービスもあります。

日本の自動車市場は、横ばい、微減傾向です。
これは様々な要因がありますが、一台の車を長く乗り続ける傾向があることが大きな要因です。
平均車齢(新車から何年経過しているか)は、8.44年(2018年)になっていて10年前と比較すると1.54年延びています。
平均車齢はそのまま、買い換えサイクルということもできます。
なかなか買い換えないので、新車が売れないという図式になっているのです。

トヨタのサブスクリプション方式の取り組みは、この現状を何とかしようとする試みではないかと思います。
半年ごとの乗り換えを促すことができれば、その分、新車の需要は増加します。

サブスクリプション方式の拡がり

その他にも、定額レストランのサービスなんてものも登場しています。
料理や飲み物に対してお金を払うのではなく、月額の利用権を買うという方式です。
これは、飲食店の宿命「繁閑差」を吸収する目的があります。
金曜日や土日が予約でいっぱいの飲食店があったとしましょう。
その代わり、平日はガラガラです。
金・土・日はお客さんが入り、大きな収入がありますが、席には限りがあるため、「満席です」と断る機会損失も生まれます。
平日はお客さんが入らないので、ほとんど収入はありません。
そんなお店がサブスクリプション方式を導入するとどうなるか。

定額にしたところで、金・土・日に予約を入れるのは困難なことは変わりません。
でも定額料金を払っている人は、もったいないので、何とかそのお店に行こうとします。
そうすると、自然と平日の稼働率が上がっていくことになります。

少し工夫して「平日限定」のサブスクリプションサービスなどを販売すれば、現状よりも売上は上がりそうです。

その他にも、アパレルで定額で洋服を配送してくれるサービスや、ホテル、音楽聴き放題のサービス等など、続々とサービスが登場しています。

まだスタートしたばかりのサービスなので、失敗するところも出てくると思いますが、レンタルやリースとも違う、所有しないビジネスモデルというのは、今後、発展していきそうです。

個人的には、汎用工作機械などでもいけそうな気がするのですが。

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