ミンスキー・モーメント

経済

「バブルは後から振り返って、いつはじけたのかが分かる」と良く言われます。
日本のバブルの象徴と言われるジュリアナ東京は1991年5月にオープンしていますが、バブルは1991年3月頃に崩壊したと言われています。
つまり、渦中にある人間にとって、まだバブルの最中なのか、もう終わったのか、ということは分かりにくいということです。

それを説明するのに、ミンスキー・モーメントという考え方があります。
ハイマン・ミンスキーさんというエコノミストが提唱した考え方で、信用の循環がストップする瞬間のことで、バブル崩壊の悪影響が一気に吹き出す瞬間のことです。

例えばの話、
大体景気が悪くなると真っ先に下がるのは株価です。
株が下がると、損失が発生しますので、その損失を埋めるために現金が必要になります。
何か資産を売って現金化します。
でも、皆が同じように考えれば、売り手が増えますので、様々な資産の価格は下がります。
ゴルフの会員権を売ろうとしても、買った値段よりも安い値段で売らざるを得ません。
その損失を補填するために、今度は不動産を売ろう、やっぱり安い値段で売らざるをえず、損失が発生します。
これを繰り返し、もう売るモノがなくなると・・・
負債だけが残り、当然破産します。

でも最初の危機(株価暴落)から破産まではタイムラグがあります。
色んなモノを売り払ってお金を工面できている内は、曲がりなりにも信用は破綻していません。
しかし、最後の最後、残った負債を自分の収入で支払えなくなった瞬間に信用は破綻し、破産に至ります。
そして残った負債は、他の誰か(銀行?カード会社?友人?)の損という形で回っていきます。

個人で説明しましたが、これが国レベルで起こるとどうなるか。
株価が下がっただけでは、表面上大きな破綻はありません。
でも、その埋め合わせを皆が初めて、どんどん返せない負債が貯まっていきます。
誰かがそれを吸収できている(いろんなモノを売り払ってなんとか回っている状態)内は破綻は表面化しません。
でも行われていることは、借金の付け回しそのものです。
誰もそれを吸収することが出来なくなった瞬間、その国の経済は破綻状態として表出します・

この瞬間がミンスキー・モーメントです。

昨年の秋頃から中国の経済が明らかに変調を来しています。
いよいよミンスキー・モーメントを迎えたと見るべきではないでしょうか。
資本主義国家ではできないような強引な手法で、無理矢理信用循環を作り出していましたが、
もはや限界を迎えつつあると思います。

さて、中国のバブル崩壊はいつと認定されるのでしょうか?
4~5年前には崩壊していたのかも知れないですね。
無理矢理、引き延ばした分、反動も大きそうです。

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